2026/06/17 19:53
サーフィン業界では「カーボン=軽い」と言われることがあります。
しかし実際には、カーボンファイバーそのものが特別軽い材料というわけではありません。
一般的に使用されている3Kカーボンクロスの面積重量は約200g/m²です。
一方、サーフボードに広く使用されるガラスクロスの面積重量は、
- 4oz:約113g/m²
- 6oz:約170g/m²
程度となります。
また、日本国内で流通しているガラスクロスでは100g/m²や200g/m²の製品も多く、それらを4oz・6oz相当として使用しているサーフボード工場もあるかと思います。
カーボンファイバーは比強度・比剛性に優れるため、少ない材料で高い性能を得られるというメリットがあります。
しかし、繊維そのものの重量が特別に軽いわけではありません。
また、サーフボード工場によっては、サンディング時にカーボン繊維を傷つけたり芯材を露出させたりしないよう、表面に薄いガラスクロスを重ねる場合もあります。
その場合、繊維重量はさらに増加します。
一方で、樹脂を含浸した際の樹脂含有率は、適切にラミネートされた場合、ガラスクロスとカーボンクロスで大きく変わるものではありません。
そのため、繊維重量が同程度であれば、完成したラミネートの重量もほぼ同程度になります。
しかし、実際にカーボンを使用したサーフボードを手にすると、「軽い」と感じる方が多いのも事実です。
その理由の一つは、サーフィン業界で広く流通しているカーボンボードの多くが、ポリウレタン(PU)フォームではなくEPSフォームを芯材として採用していることにあります。
EPSフォームにもさまざまな発泡倍率のものがありますが、一般的にサーフボードに使用されているEPSフォームはPUフォームより密度が低く、同じサイズのブランクで比較すると大幅に軽量です。
そのため、カーボンボードの軽さはカーボン繊維そのものではなく、EPSフォームとの組み合わせによる影響が大きいケースが少なくありません。
また、カーボンクロスはガラスクロスと比べてハリが強く、フォームへの追従性が低いため、通常のハンドラミネートでは扱いが難しい素材とされています。
そのため、サーフボードをビニールに包み真空引きするバキュームラミネートが主な工法です。
その際に余分な樹脂が除去されることも、軽量化の要因かもしれません。
CLOUD R&Dでの検証
CLOUD R&Dでは現在、一般的な3Kカーボンクロス(約200g/m²)ではなく、1Kカーボンクロスと呼ばれる面積重量100g/m²の軽量な炭素繊維を使用したサーフボードの開発を進めています。
今回の検証では、同一形状のボードを3本製作します。
①ガラスクロス使用
- ボトム:100g/m² × 1層
- デッキ:100g/m² × 2層
②カーボンクロス使用
- ボトム:100g/m² × 1層
- デッキ:100g/m² × 1層
- 76g/m²(開繊)× 1層
③ちょっと重いカーボンクロス使用(製作済み)
- ボトム:100g/m² × 2層
- デッキ:100g/m² × 2層
- 76g/m²(開繊)× 1層
これらを製作し、実際の重量や乗り味の違いを比較検証する予定です。
芯材にはEPSではなくPUフォームを採用します。
これは「軽量なEPSだから軽い」という要素を排除し、繊維そのものの特性を評価するためです。
また、使用する樹脂についても、一般的なエポキシ樹脂やポリエステル樹脂ではなく、繊維性能を最大限に引き出すことを目的として選定した樹脂を採用しています。
さらに成形には、CLOUD R&Dが独自に開発した成形技術を用いて製作を行います。
繊維含有率を高め、繊維そのものの性能を引き出すための工法です。
最後に、サーフボード業界では「カーボンは速い」「カーボンは軽い」といった言葉が広く使われています。
しかし、その多くは素材単体の特性だけでなく、フォーム、樹脂、成形方法、ラミネート設計など、複数の要素が組み合わさった結果である可能性があります。
CLOUD R&Dでは、先入観やマーケティングではなく、実際のデータと乗り味の両面から素材の特性を検証し、サーファーにとって本当に価値のあるボード開発を目指しています。
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